11月26日:日曜日 (群馬県四万温泉へ)

 今日もいい天気だ。今日はバイクで日帰りロングツーリング。
 八王子の自宅から青梅〜名栗〜秩父〜皆野〜藤岡〜高崎と順調に進む。紅葉と走りを
楽しむベストコースだと思っている。高崎から榛名町を経て榛名山の南西麓をぐるっと
回るのだが、どうも高崎で迷ってしまう。榛名山からは気持ちよくゆったりと走れるお
気に入りのR406だ。5時間ほどで四万に到着。

 今日のお目当ては湯の泉ではなく、その奥、新潟県境方面につながっていると思われ
る道だ。四万ダムのいつもの場所にバイクを止め、山歩きの身支度をしていると、1台
の家族連れの車が通りがかりの人に聞いている。「あの〜。この辺に幻の温泉があるっ
て聞いたんですけど〜。」こんなことは人に聞くんじゃなく、自分で探し当てるものだ
と思うのは私だけではあるまい。

 家族連れは無視してさっさと林道に入る。立派に整備された未舗装路をしばらく歩く
と、件の温泉が川沿いにある。温泉は後ではいるとしてこの道がどこまでつながってい
るかだ。が、500メートルほど行ったところであえなく終点。もっと続いてると思っ
てたのに〜。しかしその先にもおいしそうな道が続いているのだった。



 枯葉を踏みしめながら渓流沿いに道を進む。幅2メートルほどだがよく整備されてい
る。ちょっと着込みすぎたかな、暑いぐらいだ。

 道が沢に流されて途切れている。このくらいなら楽勝だ。石伝いに沢を渡ると道はだ
んだんと細く荒れてくる。しかし古そうな道だ。路肩は石組みで補強されている。かな
り丁寧な仕事と見た。

 しばらく進むと、道が崩れさっている。板で渡してあったと思われる部分も落ちてい
る。向こうに道がつながっているのが見えるので、いったん川原に降りてまた進む。



 今度は、崩れた土砂に行く手を阻まれた。道がこの先どうなっているのかわからない
が、川原に降りた踏み跡があるのでいってみる。突き出した大岩をひとつ越えると、日
の当たらない薄暗い川原だ。見上げるとずいぶんと高いところに石組みが見える。あそ
こまで登るのは無理だな。 川原でカップラーメンとおにぎりの昼食を食べながら、周
りの景色を見まわす。実はさっきの温泉のさらに奥に、釣師がつくった温泉があると聞
いて確かめに来たのだ。ここまでそれらしい場所はなかった。あるとすれば更にこの
奥。いずれ暖かい時期に渓流歩きに来るとするか。



 昼食を終え、戻る前にさっきの道をもう一度見上げる。まったく立派なものだ。かっ
ては多くの人が行き来していたのだろう。見ているとどうもこの斜面が登れるような気
がしてきた。いや、登れるはずだ、あの石とあの枝を伝って。夢中で登っていくが、今
一歩のところで渡る方法がない。あきらめて下を見るとずいぶん高いところまできてい
る。こりゃ降りるのは無理だな。上のほうが斜面の木を利用して登れる。今思うと何か
に浮かされていたとしか思えない。一人で道もない山に入っていこうとするなんて。 
登りきって反対側を見るとなおいっそう険しい斜面だった。滑り降りても骨の1本や2
本の覚悟はいりそうだ。あきらめて他の道を探す。来た方向はわかるので何とかたどり
着けるだろう。尾根沿いに進むと踏み跡がある。釣師が歩いた跡か。うまく行けば戻れ
るかな。しかし踏み跡は枝をくぐり岩を登りとても人が歩いたとは思えない。しまっ
た。鹿かサルの獣道だ。ひょっとしたら戻れないかもしれない。そんな恐怖が背中を伝
った。

 こうなれば自分の目を信じるしかない。遠回りでも確実に下っていく。ずいぶんと歩
いてやっと緩やかな谷になっているところに出た。とりあえずここで一休みだ、と思っ
たら真下に例の土砂崩れの現場が見える。やったー。やっと戻ってきた。

 急ぎ足で来た道を戻ると向こうから人が来る。温泉のことを尋ねていた家族連れだ。
小学生ぐらいの男の子二人とお父さんとお母さん。

「こんにちは」「温泉はありましたか」
 「イヤーあれだとみんなで入れないんで」「でもこっちのほうがいいですよ」「この
先どうですか」
 「結構崩れているんで子連れはちょっと」
 「そうですか」「みんなここでお昼にしようか」
 結構お父さんもやるね・・・

 湯の泉で汗を流す。今日は本当にヤバかった。汗といっしょに流れ出たあせりばかり
が目に焼き付いている。

 帰路は、榛名山を越えて高崎へ抜けた。高崎は渋滞していて、また道に迷ってしまっ
た。

※ 湯の泉は露天の共同湯です。一般には公開されてないので、詳しいことは書けません。

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